2018年6月28日木曜日

タバコを吸わない人に朗報!?――深呼吸によりリラックス&生産性向上が期待できる木工バイタルセンシング型呼吸デバイス「kitoki」




 「タバコ休憩、うらやましいな。自分も席を外してリラックスしたいよ」――非喫煙者ならそんなことを考えたことがあるかもしれない。

 スタッフとJTは6月27日、呼吸と所作によりわずか3分でユーザーのリフレッシュを促す“木工バイタルセンシング型呼吸デバイス”「kitoki」(キトキ)の先行予約販売をクラウドファンディングサイト「Makuake」で開始した。量産に入った場合の想定価格は1万800円。先行予約者へは9180円からの出資を募っており、出荷は2018年12月の予定だ。

 kitokiは、精神性発汗の量により精神状態を測るバイタルセンシングデバイスだ。ふたつの電極に触れるようにして握り、吸い口から大きく息を吸い込むと電源が入り、“手汗”を計測。何度か息を吸い込むことを繰り返すうちに収まった発汗を感知して、振動し、それによりユーザーがリラックスできたということを伝えるのだ。


 電源は単4電池×2。口をつける吸い口は、替えがひとつ同梱される。

深呼吸とバイブレーションが生み出すリラックス&覚醒効果


 深呼吸とバイブレーション――実はこのふたつが、“リラックス”と次の仕事に取り掛かるための“覚醒”には欠かせないという。そのことを開発経緯として説明したのはJTたばこ事業本部R&D企画部 谷本侑成氏だ。
JTたばこ事業本部R&D企画部 谷本侑成氏
 「JTはタバコなど嗜好品を開発しているが、R&Dグループではタバコといった“モノ”のほかに情緒的価値という“コト”についても研究をしていた。喫煙者のバイタルセンシングを取ってみたところ、タバコを吸うことによるリラックス&覚醒には一定のカーブがあり、それには深呼吸とタバコの火をもみ消すという所作が関係していることが判明したため、『これと同じ効果を他のデバイスでできるのではないか』と模索している中でものづくりを大阪で行っているスタッフに出会えたのです」

  出会いの場はMakuake 4周年記念パーティーだった。

 実は、スタッフは2016年に、学習型IoTアルコールガジェット「TISPY」を開発して、Makuakeによる資金調達を成功させている。これまで大手電機メーカーなどからの開発や生産を請け負っていたが、表舞台にMakuakeを通じて登場した形だ。そして、そのつながりで参加したパーティーでJTと出会った、というわけだ。

 スタッフ営業推進チームリーダーの廣江朋也氏は、「金属加工は慣れていたが、今回のアイテムはリラックス効果を考えて、香りがよく、柔らかな手触りのあるヒノキを使うことにしたため、さまざまな課題が出てきた。木工職人に試作品を依頼し、このような形にこぎつけることができた」と開発中のストーリーを披露した。「木製のバイタルセンシングデバイスというのはあまり世の中にないので、バイタルセンシング市場の中でも先駆けになれればうれしいですね」。

スタッフ営業推進チームリーダーの廣江朋也氏

kitokiを手にするスタッフ代表取締役 小山栄一氏

個人だけではなく、企業の新規事業・商品開発の場としてのMakuake

マクアケ取締役 木内文昭氏
  本イベントに登壇したマクアケ取締役 木内文昭氏は、「Makuakeでのプロジェクト掲載数は月間約100件で、累積4300件。そのうち1000万円以上の資金調達をしたプロジェクトは累計100件にのぼる」としたうえで、「多くの企業が新規商品や新規事業を生み出せない背景には負の構図があるのではないかと感じるようになってきた」と語った。


 そのような中開設されたMakuake Incubation Studio(MIS)は「企業が持つ先端技術を価値に変換する新規事業創出を、開発テーマや企画づくり、またパートナーのマッチングといった面でサポートできる。さらに、商品を市場に投入するところまでお手伝いしていくので、テストマーケティングとしてのMakuake利用が可能で、市場の反応を見つつ、検証していく“スモールステップ”を踏んでいける」とMakuakeの役割を解説した。


  「これはおもしろいのではないか、という商品を世の中に出していき、そこで得られた反応をマーケティングデータとしてフィードバック。これは強力なマーケティングツールになると思います。そのためにも、発表して手に取ってもらえる商品をできるだけたくさん生み出していきたい。そして、ユーザーに評価してもらいたい。日本にはまだまだ芽が出ていないイノベーションの種がたくさんあるのですから」

ヒノキの香りがリラックスを後押し


 体験会、ということで実際に体験してみた。

 会場には、“通常版”と“可視化版”が用意されており筆者は呼吸により精神性発汗がどれほど減少するかがモニターで確認できる“可視化版”を体験した(なお、会場内では“~版”という呼び方はされておらず、筆者が便宜上使っている名称である)。

 ふたつのセンサーに指が触れるようにkitoki本体を握る。吸い口に口をつけ、大きく息を吸い込むと電源がオンになり、モニターに“手汗”の状態が表示された。その後、再度息を吸い込むと、手汗の波の平均値を表す緑色のグラフが表示され、吸い込む回数が増えるに応じ、値が下がっていくことが確認できた。


精神性発汗の量がだんだん減っていくのがわかる。
緑色の大きな円はkitokiを通じて息を吸い込んだことを表している。
なお、この画像はデモに参加したテスターのもの

 感想としては、口で息をしていても感じられるほのかなヒノキの香りと、柔らかな木の感触、また木のぬくもりが心地よく、使っている間はホッとした気分を味わえた。

手に馴染む形状と、ホッとする手触り

 緊張が解けたかそうでないかにかかわらず、会場に用意されたkitokiは3分でバイブレーションが作動するように設定されていたのだが、もっと長く触れていたい、使っていたいと感じてしまった。

 ちなみに、本体はニス加工を施さず無垢材のまま。これは革製品と同じように、使うことによる色の変化を楽しんでもらいたいから、とのこと。自分色になれば、愛着もひとしおだろう。

 正直、「深呼吸と手を動かすという所作だけでリフレッシュできるのであれば、普通に深呼吸して、手をブルブルと動かせばいいのでは?」と思っていたのだが、この香りや感触は何も持たずに得ることは難しい。デバイスがあれば「この人は今、リフレッシュのために何かをしているんだな」と周りの目も気にせずに済むし、何より手に伝わる振動により「あなたは今、良い状態にいますよ」と教えてもらえる安心感がある。

 タバコを吸わない人でも、わずか3分の深呼吸でリフレッシュできる「kitoki」。ファンディング開始からまだ5時間だが、すでに目標金額を達成し161万円以上を調達している。社内や顧客へのプレゼン前、また何かのイベントで登壇するような緊張するシーンでリラックスした精神状態を作り出すのに手に入れてみてはどうだろうか。

 



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